NDVIを利用した大麦殺菌剤処理の効果確認

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ノースダコタ州の大麦生産者は、ノースダコタ州立大学の研究者グループの協力により、マルチスペクトルデータを利用した、菌類による病気の制御と、収穫量および種子の品質への影響の抑制に成功している。

この記事に示されているAtlasデータはここで見ることが可能だ。


菌性の病気:大麦生産者にとっての潜在的脅威

赤カビ病(Fusarium Head Blight、FHB)は、暖かく、湿気のある環境で発生する菌類病原体で、大麦を含む幅広い種類の作物に影響を与える。赤カビ病は、穀物の成育に影響を及ぼして収穫量と品質を低下させ、萎えて変色した低重量の穀粒が実る。

ノースダコタの穀物は特にこの病害に遭いやすく、年間推定5~10%ほどの収穫量減の原因となっている。2010年から2014年の間の州内の生産損害額は2500万から2億8000万ドルに及んだ。

この病気による経済的影響を懸念したノースダコタ州立大学、カーリントン研究エクステンションセンター(Carrington Research Extension Center)の研究者グループは、2016年の夏に実験を行い、大麦の赤カビ病を制御するための様々な殺菌剤処理を研究した。

殺菌剤散布効果の確認

研究グループは、生育期間中の異なる時期に殺菌剤を散布する、10通りの殺菌剤処理の実験を行った。最も早期の処理実施は6月2日(4.0~4.5葉期)で、最終実施は7月1日(Feekes 10.50期)だった。すべての処理は生育期間を通じて同量の水でかんがいを行った。さらに、切った麦わらを新たに発芽した大麦の上に分散させ、局所的な病気接種材料源を提供した。

研究グループが殺菌剤処理の試験を行った区画のRGB画像(赤色の部分)

研究グループが殺菌剤処理の試験を行った区画のRGB画像(赤色の部分)

処理実施後、研究グループは7月15日[画像1]および7月21日[画像2]にMicaSense RedEdgeを用いて畑のマッピングを行った。その後、グループはMicaSense Atlasを使用し、2つの補正NDVIマップを生成した。

7月15日のNDVI(範囲0.46~0.95) - NDVI は作物の活力を数値化する。NDVI値の低い区画は、緑の植物組織がほとんどない、あるいはまったくない場所を示す。

7月15日のNDVI(範囲0.46~0.95) - NDVI は作物の活力を数値化する。NDVI値の低い区画は、緑の植物組織がほとんどない、あるいはまったくない場所を示す。

7月21日のNDVI(範囲0.27~0.95) - 2つのNDVIマップの違いは、大麦の成熟レベルに対応する。

7月21日のNDVI(範囲0.27~0.95) - 2つのNDVIマップの違いは、大麦の成熟レベルに対応する。

NDVIマップ(上記)は、それぞれの区画における処理の効果を詳しく示している。緑の区画は処理が最も効果的だったことを意味し、黄色は処理効果が最小限だったことを、赤色の区画は作物の病気が最も猛威を振るい、作物の緑色植物組織がほとんどあるいはまったく残らなかったことを意味している。

大麦が成熟するにつれ、作物は発育中の穀物に向け栄養素を上部に移動させ、葉や茎は黄化していく。病気のために植物が疲弊していると、成熟が早まり、結果として全体的に寿命は短くなり、収穫量が低下する。

結果

この研究で、補正NDVI値は、分野の研究者が実際に視察して判断した病気のレベルと強い相関関係を持つことが判明した。実際、NDVIマップでは、異なる処理による大麦の収穫量の違いを示せることが分かった。NDVI値が最も高い区画(緑で表示)では、病気は低レベルで、最大の収穫高を産出することが証明された。

加えてこの研究は、管理判断に役立つ客観的情報源としてのマルチスペクトル画像の価値をさらに証明している。この実験で研究グループは、マルチスペクトル画像を利用して、殺菌剤処理の作物に対する影響を正確に評価し、収穫高と期間中の種の品質への悪影響を最小限にとどめることができた。